

天保12年10月に堺町と葺屋町(現中央区日本橋芳町)の辺りにあった芝居小屋が火災で焼け、関係者が再興を願い出たが老中水野忠邦は風俗取り締まりのうえからも市中に芝居小屋は好ましくないと許可を出さなかっただけでなく、芝居小屋自体を廃止させたかったようです。その意向をもって北町奉行遠山左衛門尉に諮問したところ、江戸の町民のためにはあまり寂しくないところに移転させなくてはならないということで、聖天町西側隣接地の、丹波国園部藩主小出氏下屋敷を買い取り移転させたそうです。
天保13年7月に市村座、10月4日には中村座の初興行が行われ、その後森田座も幕を開けて猿若三座と言われるようになったのですが、考えてみれば遠山の金さんがいなければ歌舞伎はなくなっていたんですね。そんなわけで僕は浅草には特別な思いがあるんです。親父の墓も浅草にあるしね。平成中村座は今回で3回目だけど今回初めて観音様の裏で興行をさせていただくことは本当に光栄なことであり、もし親父が生きていたら絶対出るって言ったことでしょうね。これも江戸開府400年という年だからこそ幕府の最初の祈願寺である浅草寺様がお許しいただけたことであり有り難いと存じております。
この浅草の皆さんのご支援に答えるためにもいい舞台にしますので、どうぞお誘い合わせの上よろしくお願いいたします。

江戸開府400年にあたる今年3月31日から、浅草と新潟を舞台にした「こころ」がスタートしました。主人公・松永こころは”ちゃきちゃきの江戸っ子”、実家は浅草で代々続く老舗のうなぎ屋「きよ川」の1人娘という設定です。撮影は昨年末から始まり現在も進行中ですが、もちろん浅草の町のシーンがたくさん登場、これには浅草槐の會の仲間を初めとした多くの浅草の人たちが協力しています。
番組の初めで登場した三社祭(本来は5月の第3金~日)の本社御輿入りのシーンでは、11月末の寒い中かつぎ手をして協力した地元青年部300名と主役の中越典子さんをはじめ小池栄子さん、なぎら健壱さん、モト冬樹さんなどの出演者も熱気一杯の撮影で、すばらしいシーンが出来上がりました。なにしろテレビ撮影のためにこんなに本格的に三社祭を再現したのははじめてのことでした。
9月末まで続くこの番組で、きっと私たちの町浅草の風情、人情、そして下町の温もりを感じていただけるのではないでしょうか。
2011年3月発刊
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