
新春を浅草で迎えて3年目にしてやっと花が咲き、平成16年の正月公演はまさに我々5人(市川亀治郎、市川男女蔵、中村獅童、中村七之助)にとっても大切な1か月になるだろうと考えています。
昨年、たいへん多くのお客さまに足を運んでいただっきましたが、その分、今年真価が問われるであろうということで、1年かけて事あるごとに5人で集まり、どのような出し物がお客さまに喜んでいただけるのか、今我々は何を勉強させていただいたらいいのかなど、あらゆる観点から話し合ってきました。その結果、今回の出し物が「三人吉三巴白波」、「毛抜」、「吉野山」になりました。
浅草寺境内に小屋がけした10月の中村座に出演できなかったことはたいへんに残念でしたが、何度か中村座に足を運び、あの興奮を新春の公会堂につなげられたらなんて大きな夢を持って挑もうと思っています。こんなことを言ったら、きっと父には「10年も20年も早い」と言われそうですけどね。
なにしろ我が家の初詣は必ず三社様の隣にある被官稲荷なんです。それも浅草寺弁天山の除夜の鐘をついた後にお参りしています。父は中村座の公演中、毎日楽屋入りの前に被官稲荷にお参りしていたんです。
被官稲荷は鳥居が4つあります。最初の鳥居からちょっと離れて3つの鳥居があり、その3つの鳥居を抜けてすぐの左右にお狐様がいます。右が吉右エ門と時蔵、左が米吉と歌六の名前が刻まれているんです。この歌六こそが私の曾祖父で、後の3比とがすべて大叔父達です。そんなわけで父はここへお参りするとこの狐の頭を撫でて歩き、お堂の裏へ回ってとんとんとお堂をたたいてくるんです。
こんなふうに初詣をすませて家へ帰り、少し寝るとすぐにお年始周りです。お年始周りから家へ戻ると家の方にも多くの方々がお年始に見えて大騒ぎのうちに元旦が過ぎ、浅草の初日となるわけですから、まさに、浅草に暮れて浅草に始まるんです。
とにもかくにもご見物の皆様に喜んでいただけるよう、そして昨年よりステップアップしたと思っていただけるようがんばります。
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